なんだか、久しぶりに思い出したのだ。
なんの縛りもなく、自由に自分の感じたことをただただ書き散らしていた頃のこと。
わたしにとって文章を書くことは、別に「好きなこと」ではなかった。それは息を吸って吐くように、ごく当たり前の行為だったから。
でも「書く」を仕事にしてしまってからというもの、さすがにそうもいかなくなった。
技術やノウハウを意識し、クオリティを維持し続ける。
はじめのうちは、「得意なことが、仕事になった!」ことで意気揚々と(というか、必死に)、それなりに量ある仕事をこなしていたわけだけど、書けば書くほど、キーボードに向かうことがしんどくなっていった。
インタビュー相手のことばを、わたしは正確にくみとれているか。表現に齟齬はないか。
(そういえば、はじめて「書けない」状態におちいったのは、何人も連続で、相手の人生に踏み込む取材が重なった直後だった)
取材対象者、クライアント、読者を不快にさせたり、誤解を招くようなことがないか。
書いたテキストが、企業にとって何か価値になったのか。
ムダにクソ真面目な性格とも相まって、負のスパイラルは加速し、筆はどんどん重くなっていった。
今年、日常の中に「書く」ことを詰め込んでいた日々から少し離れてみている。
「書くこと」に、次はどう向き合ってみようか。
どんなに大変な想い出があっても、わたしにとって、書くことはたったひとつの光だった。 それは今も変わらないのだ。