過去に思いをめぐらせていて、思い出した。はじめて彼の音楽にふれたのは、2011年3月。震災直後、現地から配信されていたDOMMUNEのライブ映像だった。
そういえば、そうだった。久しぶりに思い出した。
スマホをにぎりしめ、Twitterに流れてくる有象無象の情報を祈るような気持ちでスクロールするしか、できなかった日々。そんなときに、たまたま見つけた配信だった。
映像の向こうの彼は、とても具合が悪そうだった。(たしか熱がある、とMCで話していた)大きな麦わら帽子、立派な口ひげ、不思議な風貌の、名前も知らないアーティスト。
でも一瞬で、わたしはその歌声にひきこまれてしまった。今まで聞いたことがないような、優しい声と、音と、ことばだった。
以来、わたしはなんとなく、七尾旅人さんの活動を追うようになった。
はじめて生演奏を聴いたのは、下北沢の小さなカフェ。突然、開催されたアコースティックライブだった。
シンプルな童謡を弾き語りでしみじみ歌ったかと思えば、ゲストのベーシストと共に、あらゆる機材を駆使して即興の音を重ね、その場でストーリーを作り上げていく。
ミュージシャンというよりも、なんだか音の魔術師みたいだった。
……と、ここまで書いて気づいたけれど、まるで文字数が足りない。
つづきは明日。
ただ、4/29開催、バンドを従えた七尾旅人氏のワンマンライブがとにかく最高だった、ということだけ先に記しておきます。
(つづく)