#414 「いい紙」推進派より【三日坊主とひとりごと】

できるだけ、手触りのいい紙でパンフレットをつくりましょう。わたしはいつも、クライアントにそう提案する。

ツルツルでもザラザラでも、しっとりでもピカピカでも、なんでもいい。

たかが紙質、されど紙質。「いい紙」は、それだけで大事にされる要素のひとつになるから。

ペラペラな安い用紙に刷ったチラシは、ペラペラなチラシとして扱われる。つまりはそういうことだ。(そのままだけどな)

どんなに重要なことが書いてある冊子やパンフレットでも、ペラペラなチラシ的な用紙でつくられていると、それだけで雑な扱いを受けかねない。

それは、たぶん人間の本能みたいなものだと思う。

いつも本を読むとき、なにも気にせず片っ端からドッグイヤーをつけるわたしだけど、この本を手にとって読みはじめたとき、紙を折ることをためらった。

「この本は、ぞんざいに扱えない」

装丁のこだわり、手ざわりある用紙の選び方、ていねいな文字組み。

手にとったときから、すみずみまでゆきわたったこだわりが、なんとなく伝わってきたのだ。

大事にしなくちゃ。折ったりしたら、この美しい本が損なわれてしまう。そう思って大事にページをめくった。

“手ざわり”は、あなどれない。

制作コスト面を重視しようとすると、「紙の値段」は真っ先に削られる対象だ。

しかしすばらしいデザインを引き立てるのも、受け取った人に温度感をダイレクトに伝えるのも、「紙の手ざわり」によるところが大きいのである。