東京ひとり暮らしのアパートで観葉植物を育てはじめ、「さて、そろそろ伸びてきたから挿し木でもするか」と準備しようとしたとき、わたしのなかにちょっとした衝撃が走った。
「えっ、鉢底用の石って、どうすればいいの?」
自宅の庭やあぜ道や、校庭、公園、河原、その辺に転がってる石ないの? あ、ここ住宅街の真ん中だった。公園にも砂利道はない。……というかいい歳した大人がひとりで石拾ってたら超不審者か。えっ、じゃあみんなどうしてんの?
自然満載の田舎で育ったわたしはしばし、混乱した。しかたなく、必要なものは石も土も肥料も、ぜんぶ楽天で買った。
東京では何でも手に入るのに、そういう“ちょっとした”ものが、ときどきものすごく遠い。
今年の5月、わたしは長野県安曇野市にある「穂高養生園」に滞在していたのだけど、そこではスタッフの方が、近くの原っぱや森なんかから摘んできた野生の花を、すごくセンス良く飾っていた。
それを見て、とてもなつかしくなった。わたしも子どもの頃は、田んぼの中のあぜ道で花を摘んだり、庭に咲いた季節の花を切り花にして学校にもっていったりしていた。
都会のアパート暮らしで、それはできない。
と、思っていたのだけど、最近ちょっといいサービスを見つけた。
「お花のサブスク」。月額数百円で、毎月2回、小さな花がポストに届く。観葉植物とはちょっとちがう“季節の色”を部屋に取り入れられて、とても気に入っている。