「残念ながら、法人口座を開設することができませんでした」というバカ丁寧な書留が、某銀行から返ってきた。
お願いだから、あと5日早くメールで告げてくれ。
「けっこう大変」とは聞いていたが、こういうことか。ググってみると、どうやらそれなりによくあるケースらしい。
まあ、設立したばかりで資本金もスズメの涙ほどの会社である。仕方ないので次にいく。
再配達指定ギリギリの時間。
ご丁寧に返送されてきた書類もそのままに、スーツケースをつかんで慌てて玄関に向かう。
少しだけ、世間の「お盆」と日程をずらし、栃木に帰省するためだ。
ここ1ヶ月、なんだか自分史上過去最高に脳内がカオスである。
「捨てる」もの、「やめる」こと。
ここ5年でいちばん大きな決断をしたはいいけれど、いかんせん突然びょーん!と無計画に飛び出してしまったがゆえの慌ただしさもある。
わたしのすきな経営者のひとりに、中川政七商店の十三代目社長、中川淳さん(現・政七さん)がいる。
中川さんの語る経営論は、ものすごくシンプルで無駄がない。
そして、その考え方のもと、ものすごく成果を出している。
そんな“ブランドづくり”の方法論が丁寧に書かれた『経営とデザインの幸せな関係』という一冊の本がある。
新幹線の中で、そのシンプルな理論を一つひとつ、たどっていたら、なんだかようやく気持ちが落ち着いてきた。
糸が絡まってとけなくなったときは、シンプルな本質に立ち返る。