今どうか知らないのだけど、わたしが子どもの頃は、小学校4年生になると部活動がはじまることになっていた。そしてわたしが小学校4年生になる直前、サッカーJリーグが開幕した。
すごく田舎の町だったけれど、その影響ははかりしれなかった。同級生の男の子は大半が、「将来の夢はサッカー選手」と書くようになったし、サッカー部には入部希望者があふれかえっていた。
うちの実家でも、ゴールデンタイムに家族でJリーグの試合を観戦することが半ば習慣化した。(ひいきのチームはヴェルディ川崎だった)
当時は「W杯に出場する」ことが夢のまた夢のような時代で、いわゆる“ドーハの悲劇”を目の当たりにしたり、三浦知良選手がW杯を目前に代表を外れたことに大憤慨したりしていた。
わたしは野球もまったくわからないし、その他のスポーツにもさほど興味がない。サッカーは唯一、エンターテイメントとして楽しめたスポーツだったかもしれない。
サッカー観戦に興味を失ってしまったのは、たぶん中田英寿選手が引退したくらいからかな。
当時、わたしは雑誌の制作会社につとめていて、担当誌に急遽、掲載されることになった「中田引退」のコラムが入稿されるのを、切ない気持ちで明け方まで待っていた。
高みを目指し続けるのは、大変なことだなと思う。
ブラウン管のこちら側。かつて子どもながらに心うたれた、選手たちのすがすがしいまでのがむしゃらさを、今もときどき思い出す。