フリーになったばかりの頃、ライターの先輩方が登壇する、とあるイベントに参加したことがある。不安ばかり抱えて、これから生き残る戦略なんかをマジメに考えていた時期だ。
ふと、「そんなこと……?」と困惑した一コマがあった。
「最後にひとこと、みなさんに伝えたいことはありますか?」と司会に問われたひとりの先輩が、切実な表情で言った。
「健康には気をつけてください。本当に」
さんざん、いろいろなテーマについて刺激的な話を聞いたあとだっただけに、すごく拍子抜けしたことを覚えている。「このイベントの締めに言いたいことが、それなんだ」と思ってしまったから。
その言葉の意味を、わたしはわずか1年もたたずに、痛感することになるのだけど。
先日、こんな記事を書いた。
身体の健康はもちろんのこと、心のケアも絶対に必要。もともと弱いとか強いとかは関係ない。
「これをやっていれば安心」という大きな道がどんどんなくなり、みんなそれぞれが自分自身の細い道をみつけて、自分でどちらに進むかその都度、選ばなければいけない。
自由はすばらしいけれど、そのぶん責任が伴うプレッシャーを、わたしたちの大半は“実感として”知らずに生きてきていると思う。
好きなことをしてるとか、楽しいから大丈夫とか、そういうことは関係ない。
記事を読んでくれた何人かは、「もっと早く読みたかった」と言っていた。今後ひとりでも、そういう人が少なくなったらいいなと願う。