いつまで同じところを、ぐるぐる回っているんだろう、わたしは。
心底、自分にうんざりして、何かを断ち切ることを決めた。35歳の春。
で、何を断ち切るか? を考えるために、長野の山にやってきた。ひとり経営合宿である。
穂高養生園に興味を持ったのは、4年前、奈良で行われた4日間のフォーラム。西村佳哲さんが主催する、とても充実した時間だった。
そこで養生園をつくったオーナーの福田 さんのお話を聞き、一度足を運んでみよう、と思ったのだ。
相変わらず仕事三昧の日々から抜け出せずに、「えいや!」と、たった3泊4日の滞在を予約するまでに4年もかかってしまった。
でも実際に足を踏み入れてみた今、このタイミングでここに来ることに、意味があったんじゃないかと思っている。
家でも、その辺のカフェでも、「考えごと」はできるかもしれないけど、身体と意識を“日常”から引き離して、はじめて向き合えることもある。
仕事が終わらず、たどり着いたのは夕飯ギリギリ。17:30には、もう食事が用意される。
「あとでお腹空きそう」なんて思いながら、料理を一口食べた瞬間、ものすごく驚いた。大げさでもなんでもなく。
おいしかったし、あっという間に満たされた。お腹はもちろん、気分も。
たどり着いてたった2時間のあいだに、すっかり癒されてしまったのだった。
ヒノキのお風呂につかり、考えごとをしはじめる。明日は森の中を歩きながら、あれこれアタマを巡らせよう。